さて、次は転勤族の家庭に育ち、臨床心理士として仕事をしていたMinakoのストーリーです。
小さい頃から1~3年ごとに父親の仕事の都合で日本だけでなく、イギリス、アメリカ、香港で育ち、目まぐるしい環境変化にさらされてきました。また小さい頃より人の感情に非常に敏感な性質があり、心というものに大きな興味を持つようになっていました。
大学、大学院で臨床心理学を学び、臨床心理士として子育て支援の現場に携わること15年以上。いわゆるニュースに出るほどの虐待家庭ではなく、ごく普通にわが子を精一杯育てている家庭でも、問題はたくさんあります。
発達障害など子ども自身の要因が大きい場合もありますが、親自身が自分の養育体験での心の傷つきを克服できていないせいで、わが子との関係が難しくなっていることもとても多いのです。
例えば、あるママは「何かと反抗する子どもに手を焼いている」と相談に来られました。なんとか言うことを聞かせようと躍起になっているママ。それに対してさらに反抗している子ども。毎日毎日バトルの連続。もう疲れ切ってしまったと。
カウンセリングしていくと、ママ自身からこんな言葉がやがて出てきました。「本当は、言うことを聞いてほしいのは自分でした。親がすごく厳しかったから、ずっと言いたいことを我慢して生きてきたんです。それがいつの間にか当たり前になっていて。結婚して子どもが生まれて、なんでも自由に言いたいことを言ってくる姿が、実は羨ましかったんだって気がつきました。この子は自分がやりたくてもやれなかったことをやっている。羨ましい。ずるい。だから無性に腹が立っていたんですね」。
まさにママ自身のインナーチャイルドの声が聞こえた瞬間です。潜在意識に閉じ込めていた本当の自分の気持ちに気づくと、人は憑き物が取れたように穏やかになれるもの。このママはお子さんに対して素直に「ごめんね。ママ、八つ当たりしちゃってた。これからは自分の気持ち、もっと伝えるようにするね」と謝ることができ、お子さんもその気持ちを受け取れたことで、二人の関係はその後随分と落ち着きました。
相談を一旦終了する際の挨拶で、ママはこうおっしゃてくれました。「おかげさまで、自分の気持ちをもっと大切にする生き方がわかってきました。これからもいろいろあるでしょうが、その度に自分と対話してなんとかやっていけると思います。本当は、もっと早くこうやって自分のことを知ることが出来たり、子どもとの関わり方を知ることが出来たら良かったのになって思いますね。そうしたら、あんなに苦労しなくて済んだのにって。ありがとうございました」。
私も全く同感でした。相談に来ないといけないほど、問題が大きくなる前に一人一人が自分で対応することが出来たなら、それに越したことはないのです。すべての人が臨床心理士になる勉強をすれば、防げる親子の問題は山ほどあるだろうに。かといって、そんなことは現実的ではない。自分自身や、自分の子ども、パートナーと向き合いたいと望んでいる人ほど、苦しんでいる。
そんなモヤモヤした思いをずっと抱えながら、相談に来てくれた方に対応する以外に自分には出来ないと思って仕事をしていました。
時は流れ、私も自分自身の潜在意識の願いに従って、アーティストという第二の人生を歩むことを決断。
美大すら出ていない自分が、どうやって活動を開始しようか?と考え、とある自己実現系のセミナーに参加してみました。
60人以上参加していたセミナー。全員ではないもののたまたま自己紹介する機会に恵まれたので「こんな絵を描いています。アーティストとして活動をしていきたいです」と、A4の印刷した絵を手にしながら自己紹介をしました。
休み時間になり、おずおずと近づいていくる女性が一人。
「さっき、あなたの絵を見てピンと来ました。私は、心理学をベースにしたオリジナルのカードを作りたいと思っていて、絵を描いてくれる人を探しているんです」。
そう、この女性がKiloちゃんでした。
カードという形に落とし込むことで心理学の大事な要素を誰もが手軽に学ぶことができ、さらにはわが子やパートナー、周りの人へカードセッション形式で使うことでその喜びの輪を広げていくことが出来る。家族の太陽であるママが心から輝くことで、家庭が平和になり、それが社会全体の平和につながり、優しい世界が出来上がっていく。
Kiloちゃんの伝えてくれたカードのコンセプトが、まさに私が「こうなったらいいな」と思い描いていた世界とピッタリ!!
心理学の専門家だったことなんてKiloちゃんは全く知りませんでしたが(自己紹介でそのことは言わなかったので)、そのおかげで世界観の共有は瞬時にできました。
偶然にしては、あまりにも運命的な出会い。そこから二人でカードのコンセプトを2年以上かけて練り上げていきました。
カードのテーマは、Kiloちゃんの中で自然とハワイと決まっていました。元々ハワイに伝わるALOHA文化や教えが大好きで、あらゆる事象をあるがままに受け入れる世界観がこのカードを通して伝えたい想いと共鳴していたからなのですが、Minakoも何度もハワイに訪れているハワイ好き。こんなところでも二人の感覚はマッチしていました。
絵を描く作業と解説本を書く作業を行い、ものづくりの素人二人で印刷会社を探したり本の構成をしたり山あり谷ありで、ようやく完成したのがこのココロミロミカードです。
ロミロミとは、ハワイ伝統のマッサージ技法。
このカードは、心のロミロミ。
心を優しくほぐしてくれる魔法のツールとして、二人の想いが結実して誕生しました。